患者から第一位に選ばれたハートフルな“街の産婦人科”
「NHK出版 すくすく子育て」より
カンガルーケアと母子同室で絆を深める

京都の烏丸五条の近くにある種田(おいだ)産婦人科は、商店街や住宅が並ぶ一角にあるこぢんまりとした個人開業の病院だ。
ここが「患者が決めた!いい病院」(オリコン・メディカル発行)の産科部門で近畿地区の第1位に選ばれた。最新鋭の医療設備を誇るわけでもなく、ゴージャスなサービスがあるわけでもない。ごく普通の“街の産婦人科病院”がなぜ「1位」に選ばれたのだろうか。
その秘密は種田征四郎院長の人間味あふれる人柄と患者本位の医療方針にあるようだ。出迎えてくれた、種田院長は、笑顔の優しい紳士である。
「初めてお産を経験する方に“どんなお産を希望しますか?”と聞いても、最初はわからない人がほとんどなんです。それで私は患者さんとよく話し合い、いいお産とはどんなものかイメージを具体的にしていくようにしています。」
種田院長が考えるいいお産とは「終わったあと悔いが残らないお産、自分で充足感を感じられるお産、そして成功したという達成感があるお産です。分娩のときは痛くて“もう二度とお産はいや!”と思っても終わったらまた産みたいと思うようなお産にしたい」
そのために、種田院長が実行しているのは出産時のカンガルーケアと母子同室だ。
「分娩直後のお母さんは赤ちゃんを守るためにアドレナリンがたくさん出ています。赤ちゃんも覚醒しているので、その時はを逃さずにすぐに赤ちゃんを抱っこさせてあげます。
赤ちゃんはお母さんに抱かれている間は不思議と泣かないし、お母さんも落着くんです。そのあと病室に戻ってから、1時間くらい赤ちゃんをはだかで抱っこしてもらいます。出産直後の抱っこも感動的だけれど、病室で親子だけになって、わが子を抱くときのこの時間が何とも言えず幸せだったと皆さんおっしゃいます。」

夫の立ち会い出産は8〜9割りにも及ぶ
お産の感動を種田院長はお父さんにも積極的に味わってもらうようにしている。ここでは父親の立ち会い出産が8〜9割にも及ぶ。しかもそのほとんどがぶっつけ本番だという。「仕事をもつ夫が両親学級に参加できるのはごくわずか、私は何の知識や準備がなくても、自分の妻を思う気持ちさえあれば十分だと思っています。付き添ってきたご主人に「分娩室に一緒に入れば奥さんも安心しますよ」と言ってすすめると、ほとんどの男性は素直に分娩室に入りますね。
そして分娩室で種田院長が必ず夫に言う次のことばだ。
「子供って不思議な存在ですよね。お父さんのDNAを半分持っている。つまりお父さんの命が半分つながっているんです。その子どもを産むために、いまあなたの奥さんは命がけで頑張ってくれている。あなたのためにあれだけの痛い思いをしてくれているのは世界中でただひとり、あなたの奥さんしかいませんよ。しっかり包んであげてくださいね」
自分の父親ほどの年齢の種田院長から優しくさとされるように言われると、泣き出すお父さんもいるそうだ。お産の現場で妻の痛みと感動を共有することで、夫婦の絆も深まるだろう。
種田院長はお産をすませた母親にもきめ細やかな心配りを見せる。ここでは退院する前に、産婦と院長が強調するのは、赤ちゃんがかわいく思えなくても心配しないで、というメッセージだ。
「親になるスイッチは急に入りません。最初はかわいくなくても赤ちゃんはしっかり目をあわせていっぱい話しかけて、いっぱい抱っこすれば、かわいいと思う気持ちが生まれてきます。それは神様が親にくれたごほうびです。」
さらに、退院したお母さんたちをサポートするために、毎月1回「花水木の会」という集まりを開いている。種田産婦人科でお産した親子が集まり育児の悩みを話したり、助産師におっぱいや子育ての相談にのってもらう気軽な雑談の会である。
子どもが大好きな種田院長は必ずこの会に顔を出す。「ももかちゃん、大きくなったね」
「鈴木さん体調はどう?」妊娠初期から健診し自分がとりあげた赤ちゃんが育っていくのを見るのは種田院長にとっても楽しみなのだろう。院長がめざすのは子どもがいることを容認する社会だ。
「赤ちゃんがいない社会は寂しいですよ。たとえ他人の子どもであってもみんなでかわいがり、産んだ人には“よく頑張ったね”と祝福するようにな社会になってほしいと思います。」
種田院長のお話を伺っていると、素直な気持ちになってくるから不思議だ。「華美ではないけれど、あったかい病院」ある産婦さんがいっていた言っていたことばがピッタリくる、ハートフルな病院である。


種田ドクターのニュースリリース
「女性自身 12月号」より

近畿エリア第二位の『種田産婦人科』、種田征四郎理事長は見事な白髭から「ヒゲ先生」の愛称で呼ばれている。
「妊産婦に声をかけるときは、どんなときでも前向きな言葉で言ってあげること」
彼のポリシーであり、スタッフ陣も心がけている姿勢だ。
今朝出産したばかりの母親にヒゲ先生が声をかける。
「カンガルーケアはどう?この子がものすごく可愛いと思えなかった?カンガルーケアをすると、誰でもお母さんのスイッチが入るからね」
このカンガルーケアとは、出産直後、母親の柔肌の胸で赤ちゃんをダッコさせ、1時間〜80分ほど母子を密着させること。それぞれが母であり、自分の子であることを文字どおり、肌で感じさせる一種の“儀式”なのだろう。
声をかけられた母親は、
「他の病院では赤ちゃんの顔を見せたら、連れていってしまう。こんなことはしなかったのでちょっと驚いたのですが、すごく嬉しかったですね」
子の可愛さが倍増する。種田院長の口癖である、お母さんのスイッチが入ったのだ。

出産後の“母親学級”の試みも・・・

同産婦人科では、お産の終わった6〜7人の妊産婦たちを一室に集め、お茶会も催している。同じ目的に入院した同士が話し合い、ヒゲ先生の話を聞く日を設けている。先生は3つのことを教える。
まずは、オープン・ユア・アイ。「これは母と赤ちゃんが目と目を合わせること。そうやって見つめ合っているうちに、お互いの心が開いていきます」
2つ目は、マザーリング。
「“母親になる”ということですが、これは『おお、よしよし』とか、短いセンテンスの言葉を甲高い声で繰り返し赤ちゃんに語りかけることですね」
その声かけを通し、逆に母になる自覚がめざめるとか。
3つ目が、タッチングケア。
「赤ちゃんを触りまくること。抱き癖がつくくらい触ってあげてと、うちでは言っています。赤ちゃんへのタッチが、その子の運動神経を発達させるという研究もあるんですよ」
また、出産後1ヵ月〜2ヵ月経った赤ちゃんと、その母親を呼んでみんなで話し合うのも、種田流。一種の母親学級と呼べるものだが、退院したら赤の他人という風潮が多いなかで、ここはなんとも珍しい産婦人科といえるだろう。


Q.母乳はなぜいいのでしょうか?
A.産声が響きわたると同時にお母さんが赤ちゃんを胸に抱き、肌に直接触れ合う機会をつくると、お母さんが赤ちゃんをなでながら、乳首を含ませるように導き、赤ちゃんは意志を持って乳首を探すとう共通のパターンがいつも見られます。母子のきずなの確立の始まりです。母乳保育は、単に栄養のみならず、保温や保護、愛情など生きるために必要なものも与えることができるでしょう。母子のきずなを深める意味でも、母乳はとても大切です。

種田産婦人科院長 種田征四郎(H14.10.30(水)朝刊にて)

生きいき素敵に生活
医師、子育て視野にいれ、中・後期―母子のスイッチ
種田産婦人科院長 種田征四郎氏
 妊娠中・後期での妊婦さんには、ふくみや高血圧、蛋白尿などから妊娠中毒症が起こりやすく、早産への注意も必要です。これらの知識は、妊婦さんたちは当然把握しておられるのですが、情報があまりにも多く、妊婦さんに余計な心配をさせてしまい、ストレスや緊張感につながる恐れがあります。「肥満はいけません」ではなく、「太らないほうがいいですよ」くらいでいいのです。「してはいけない」といった情報収集は必要最小限にとどめたいものです。
 核家族化により、出産の前例を見ないまま妊娠される世代が増えています。出産後の子育てに戸惑いを感じながら分娩期を迎えられるため、産婦人科医も子育てなどを視野に入れながら妊婦さんの手助けをして行く必要があると考えます。母と子のアタッチメント(愛着)のスイッチは、中後期ごろから少しずつ入り始めます。母親教室はリラックスによる安産のための準備としてもありますが、もう一つの大きな目的は、母親になる準備のための教室としての意味合いがあるのです。頭の中で考えた育児でなく、体の中からひとりでに出てくる子供への愛着、育児の体験の場として経験することも大切です。
 患者さんには「お酒や喫煙、オーバーワークがいけないのは、おわかりだから別として、それ以外は妊娠中の生活は初期、中・後期を含めて、特にタブーではありません。自転車や車に乗ってもよろしい。お母さんが、生き生きとした、すてきなあなたで過ごしてくださることが一番大切です」と話しています。
 いいお産には、リラックスし身構えないことが唯一の方法です。お産をネガティブでなく、ポジティブに考えてほしい。ご主人も家族も同じです。ご主人が立会いを望まれるとき、「あなたのDNAを半分持つお子さんですよ。その子を育てているのが奥さんなんですよ」と言うと、出産の際にご主人は涙を流されます。父としてのスイッチが入り、奥さんも子供やご主人への愛情となり、育児、子育ても大丈夫だと思うのです。
(H14.11.27(水)朝刊にて)


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