入院中の赤ちゃんの哺育

 *出産後直後から数か月間のお母さんと赤ちゃんの関係は、アタッチメント(愛着)と言って、子供の未来、特に赤ちゃんとお母さんの間を決める非常に大切な時期です。
 *それで、当院では原則として母児同室制です。優しく話しかけ、目を見て、一杯触れ合いながら慈しんで育ててやりたいと思います。
 *退院してからの準備期間でもあります。ゆっくりでよろしいから、お乳を飲ませたり、おむつをみたり、上手な抱っこの仕方をおぼえたりして下さい。
 ただ、お母さんは分娩の疲れなどから思うように身体が動かないときがあったり、初めての経験だからこんがらがって自身喪失することもあるかもしれません。御心配なく、いつも見ています。バックアップしていますから、肩の力をぬいて、赤ちゃんをただ可愛がってやる気持ちだけで充分です。
 *夜間は、お母さんの心身の安静を考えて新生児室でお預かりします。でも、体力に自信があり且つ何時でも赤ちゃんをお側に置いておきたい方は、それもいいのではないかと思います。この際も、疲れたり、自身が一時的に失いかけた時は、何時でもバックアップしていますから心配なく。
 *夜間、母乳が張ってきたり、赤ちゃんがおなかを空かして泣き出したら、お母さんのところへ連れていく場合もあります。

 産後、一番大切なのはお母さんの安静と考えています。母親の精神的、肉体的ゆとりが豊かな育児の第一歩。お見舞いの人の御協力をお願いします。




妊娠中の運動

 妊娠中、有意義に過ごしたいものです。お母さんが生き生きとした生活をすれば、お腹の中の赤ちゃんも快適に成長するのではないかと言うのが最近の考え方です。
 スポーツを楽しむのは、肥満を防止し、落ち込みがちな体力や気力を充実させ諸々ストレスを解消し分娩に向けての自身を持たせることになり、おおいに結構です。
 しかし、例えばテニスのように相手があるものではどうしても過激になりやすいでしょうし、足腰に負担のかかったり下半身に鬱血を生じさせるようなスポーツは妊娠容易に関節障害とか腰痛症あるいは痔を初めとする静脈瘤になりやすい点感心しません。
 炎天下や寒冷化など肉体的、精神的に大きすぎる負担が掛かるのも避けるベき環境でしょう。母子にとって安全な、しかも楽しい運動であるよう、TPOを考えてリフレッシュしたいものです。妊婦さんの運動について私なりの意見をまとめてみました。
 
 してよい人:正常経過をとっていること。(流早産の徴候、貧血、出血、中毒症、胎児の発育不全等のないこと、その他の異常があれば相談。)
(1)競技的性格の運動は避ける。
(2)頻度、週2〜3回。
(3)瞬発性の運動(ぐっと力を入れたり、飛び跳ねるような動作)は避ける。
(4)関節、背骨に負担がかからない。
(5)運動のピーク時に心拍数を測り130以上にならないよう。
(6)母体の体温は38度以上にならないよう((5)(6)の異常で胎児の低酸素症を招き危険)。
(7)激しい運動は15分以内、全体の時間は1回約1時間前後をめどにする。
(8)運動の前後に、或いは途中でも、喉の渇きに応じて水分の補給を怠らないように。
(9)ウォーミングアップを忘れないよう。
(10)何か異常な症状が現れたら運動を中止して相談して下さい。
 例えば水泳はどうですか。最近はきれいに整備されたプールがあちらこちらにあります。
 全身運動であること、怪我をしにくいこと、目標を決めて一人でも出来ること、背骨とか関節に負担がなくむしろ妊娠中に多い腰痛症によい点などからお勧め出来ます。
 一般的に陣痛のような子宮収縮は夕方から深夜、早朝にかけて多く、正午ころが一番少ないようです。例えば午前十時から午後二時の間に行うと負担が少ないと思います。
 お母さんと赤ちゃんの絆は、今、培われ出来つつあります。赤ちゃんと対話しながら有意義な妊娠生活をしたいものですね。




夫立ち合い分娩について

 これからお母さんになる妻にとって、父親としてこれからの育児の同士である夫が、側にいてくれる分娩の安堵感は、思っている以上のものがあるようです。
 夫は仕事で外、妻は家事と子育てで家庭を守るという役割分担の世界で育ってきた保守的な世代の方々にとって、お産に夫が立ち合いをするという事は、いかにも軟弱な事という風にとられがちでした。また、日本の神話や昔話の中には、「夕鶴」の主人公が夫に糸を紡いでいる所を絶対見てはいけませんと言ったように、妻が夫に「自分が何々している姿を見てはいけません」といったタブーを課したりする話がしばしば見られます。自分の動物的な姿、見苦しい状態などを夫に直視されることについての恥じらい、いくら夫でもこういう姿は見せたくないという慎みの気持ちが込められています。
 確かに、このタブーを破ってしまったがためにセックレス夫婦のような性生活を含めた夫婦の愛情関係に亀裂が生じては困ります。決して独り善がりで強制なさらぬように。しかし、これは夫の立ち会う位置関係など私達が適切な配慮を必ず致しますので、充分解決されるように思います。それ以上に、我が子の誕生における思っていた以上の妻の大事業に感謝感動し、そこからひとりでに出る誠実な夫の態度への妻の信頼、愛情、安堵感に深く思いをなされるお父さんが多いように思います。妻に精神的手助けをしてやれたという気持とともに濃厚な父性愛が自ずと培われるようです。育児の大事な通過点である誕生の時に力を合わせたことにより夫婦間の絆もより強くなったと言われます。


★お父さんになる方へ
 特別な準備は全く不要です。妻を思いやる誠実な気持ちだけで充分です。私達の聞き及んだところでは、夫立ち合い分娩は、お母さんよりお父さんに深い感銘を与えてくれる場合が多いようです。気分の悪くなるようなことはありません。充分に配慮します。よろしければトライしてみて下さい。
 ただし、夫立ち合い分娩が最高というわけではありません。仕事の関係などで物理的に不可能であったり、やはり独りで頑張りたいという方もおられると思います。それぞれの考え方を尊重いたします。

 より素晴らしいお産が出来ますよう祈りつつ




妊娠中の栄養

 妊娠中は二人分食べなくては、と言うのは昔の常識、でも、食べる事に結構エネルギーを費やしていた時代には、弱い立場の妊婦さん保護の観点からこの常識は有用でしたでしょう。優しくって嬉しいこと。しかし、GNPが高まり飽食の時代、グルメの時代とも言われるほど食べ物が周囲に一杯では通用しません。そのうえ食べ物もファッション化して、気分のままに食べる傾向があります。そのため、栄養のバランスが悪く、肥満になったり、貧血になったり、カルシウム不足からくる腰痛症に悩む妊婦さんが多くみられます。皆さんの栄養は、次代をになう子供の健康にも関わるものです。妊娠中の食事についても何時も気付くことで、これだけはということをあげてみました。

1.肥満の予防
 非妊時体重より7kg〜13kgの体重増加が標準的。(もともと肥り気味の人は7kg、痩せていた人で13kg、平均10kg)4週間で1kgを目安にされると便利。
2.鉄、カルシュウムは十分にとる。
 平均的な現在の日本の食事では、どうしてもこの二つは不足しがち。
 胎児は、血液を積極的に作るために、また、生後離乳が始まるまで母乳中の鉄分が少ないのを胎児期に蓄積しておくために、母体から鉄をどんどん取り入れます。鉄不足による妊娠中の貧血は、疲れ易く、病気への抵抗力を弱め、分娩時には陣痛が弱く出血は多くなりがちで、産後の回復も遅れます。
 カルシウムについてみると、胎児の骨作りは、妊婦と同時に始まっています。また、カルシウム不足は、足のこむらかえりを引き起こしたり、腰痛の原因になっていることがあります。今溢れているインスタント食品、スナック菓子、ソーダ飲料、ハム、ソーセージなどの加工品は、リンが多いため結果としてカルシウム不足を招きます。注意したいものです。
3.塩分の取り過ぎに注意。
 むくみや高血圧の原因になります。特に妊娠後半期には心掛けたいものです。汁もの、漬物、スナック菓子などはついつい過剰に塩分を取りやすいようです。
4.偏食をしないように。
 成長期の胎児がいるのです。我々の未来である子供が偏った栄養しか取れないなんて可哀そう。バランスはぜひ考えたいもの。
5.アトピー体質の可能性のある人は妊娠中から食事に気をつけたい。
 遺伝的にアレルギー反応の強い体質の人では、妊娠の早い時期から注意したいもの。

* 楽しい食事。
 しかし基本的には、食生活は、妊娠中の大切なアクセント。栄養について難しく考え過ぎて妊娠生活を不愉快にしないようにもしたいですね。




親と子供の絆 これからお母さんになる方へ

★「産めば誰でも母性愛を持って母性本能を発揮して母親になれる。」と言えるでしょうか。
 最近の世相を見ておりますと、母性愛や母性本能はけっして当たり前のものではない事がわかります。親子の絆は、全てが本能的なものではなく、すぐに出来るものでもなく、またひとりでに出来るものでもないようです。妊娠の早い時期から、わが子との間にアタッチメント(愛情)を育てていく連続的な努力の過程として見ていく必要があります。
 “つわり”、“胎動感”、児心音や超音波による胎児の実感、御腹の膨らみ、妊娠を告げた時の夫の喜び、周囲の祝福、嬉しかったり楽しい時に胎児と共に喜んだ時、なにか好ましくない時にひとりでに胎児を庇っている自分を発見した時、母子手帳を貰った時、出産はそれから続く永い育児の通過点。子供との深いしっかりした絆はもう出来始めていますかしら。

★少産の時代と言われています。
 それだけに1人の子供を完璧に全く誤りの無いように育てる義務感に囚われがちではないでしょうか。もっと余裕をもって楽しみたいもの。子供を育てながら親も育てられる。親と赤ちゃんとの「やりとり」、親子の情熱的な「相互作用」が子育てのエッセンスという先人の言葉もあります。節目とか年輪があって初めて力強い樹木が育つように、親と子供の絆をつくり親となるのにも、出産をして赤ちゃんの世話をするという単純なことだけではなく、戸惑いや怒り、不安、欲求不満、時には子供を放棄したいという気持ちなどをいかに処理していくかということが入ってきます。失望とか、失敗とか欲求不満とかいうマイナスの気持ちがなかったら、うまくいったという気持ちも得られないかもしれません。

 ぜひ、ぜひ、のんびり行きましょう。
 子育ても、Relax and Be yourself.




お仕事のある人の妊婦

 家庭婦人に比して勤労婦人では、(1)流・早産が多いのではないか?(2)妊娠中毒症になりやすいのではないか?(3)低体重児が生まれやすいのでは?(4)通勤そのものが問題では?等々心配されています。働いているのは妊婦にとって本当に不利でしょうか。
 私は決してそうは思いません。むしろリズミカルで活動的な生活は、妊婦によって生活をレベルダウンさせられるという休職によるマイナスイメージより、良いのではないでしょうか。次の世代を作る母性は極めて大切な仕事ですが、不必要に萎縮して自分を失っては親子のアタッチメント(愛着)形成にも不利だと思います。最近のデータからみて通常の勤務ではほとんど差異がないのです。しかし、妊婦は余力が無いのが特徴で、無理をすると支障が出てきます。限度をわきまえた上で普通の生活を心掛けたいものです。
 流・早産の徴候があるのに(出血、腹痛など)働く、過労になるほど働く(深夜に働く、10数時間以上も働くなど)、昼食が外食になったりインスタント食品を利用する事が多いとバランスのとれた栄養がとれないことになる、通勤そのもので疲れるようなこと(ラッシュ時間、遠すぎる、途中の階段が多すぎるなど)、精神的肉体的ストレスが異常に多い職場である、といったことは避けるべきでしょう。
 母性の保護は大切で、守られなければなりません。その上で活力のある毎日を。


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